• [14] ダチョウの恋

    Posted on 10月 17, 2008 by in 野田健太郎のサファリノート

    ダチョウ
    不思議な鳥だ。

    他の仲間たちが、空中世界の制覇を目指す中、地上に特化することを選んだアウトロー、はぐれ者だ。妙な共感を持ってしまう。
    時折、寂しそうな目をするのを見ると、余計だ。

    こんなことがあった。
    サファリガイドのトレーニングをやっていたころ。毎朝、サバンナに出て、その前の晩にあった動物たちの動きを足跡やフンなどから分析していた。
    「ここにライオンのオシッコの跡がある」「サバンナヒヒがオレンジを食べた跡がある」「これはシマウマのフン」・・・・・。
    朝日が差し込む中、ひざをついて、地面を見ていると、急に目の前に影が伸びた。見上げると、ダチョウの彼女がいるのだ。いつも、朝日をバックに登場だ。

    そして、どういうわけか、毎朝、僕に求愛ダンスをして、甘えてくる。
    何度追い払っても、覚えてないのか、毎朝追いかけられた。付近にオスのダチョウが少なく、僕までも、花婿候補に挙がったのかもしれない。
    相手が、ダチョウでも「愛してる」と言われて、悪い気はしないものである。

    ダチョウの「嫁入り」は少し変わっている。一夫一婦なのか、一夫多妻なのかがはっきりしないのだ。

    オスは、発情期に入ると顔や足が真っ赤になる。メスは、この顔の赤いオスを取り合う。より赤い方がモテるからおかしい。
    しかし、実際どのメスと一緒になるかは、オスが決める。見初められたメスだけが、巣の中心に卵を産むことができる。5、6羽のメスが同じ巣に卵を産むが、他のメスは巣の端っこにしか産めない。

    見初められたメスが昼間に、オスが夜に、当番で卵を温めるが、ちゃんと温められるのは、中心に近い卵ばかり。端の卵は孵らないことが多い。またジャッカルやハイエナに狙われるのも外側の卵だ。

    6週間後のある朝、温められた卵からは一斉にヒナが孵る。中心に近いところが、孵ることが多いので、巣の真ん中に、ぽっかりと穴が開く。それを取り囲むように、孵らなかった卵が並ぶのだ。

    メスは卵の模様で自分の卵を見分けられるという。見初められなかったメスは、切ないだろう。孵らなかった自分の卵をどのように見ているのか?

    体長2メートル、頭が20センチ程度。その中には、直径5センチの目玉が2つとクチバシなど。わずかな残りが、脳ミソだ。カボスかスダチほどの脳で、何を考えるのだろうか? 次回はがんばろうとでも思うのか?

    ダチョウの恋は少し切ない・・・。

    2008年10月
    ンゴロンゴロ・クレーターにて ケンタロー


    野田健太郎
    1977年5月生まれ、千葉県出身
    慶応大学経済学部卒業
    元共同通信記者
    大阪、高知、静岡支局に勤務。

    FGASA(南アフリカフィールドガイド協会)公認
    レベル1:フィールドガイド
    レベル2:トラッカー

    現在、タンザニアにてフィールドガイド及びNHK,民放のタンザニア取材のコーディネーター等を務める。

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